シジュウムの作用

シジュウムを北中先生の研究室や全国の大学、研究機関で調べたところ、次のようなことが分かりました。

●シジュウムはヒスタミンを抑える

●シジュウムはロイコトリエンを抑える

●シジュウムは抗原抗体反応を抑える

●シジュウムは血管透過性を抑える

●シジュウムは炎症を抑える

●シジュウム強い抗菌作用を持っている

●シジュウムはTr細胞活性抑制がある。

●シジュウムはT細胞のバランスをよくする。

●シジュウムは組織障害を起こす一酸化窒素を抑える

 

以上がシジュウムの作用です。以下にそれぞれの作用についての解説をします。

シジュウムはヒスタミンを抑える

アレルギー反応が生じると体の中で、いろいろな症状を引き起こす成分が分泌されます。ヒスタミンもその成分の一つです。抗原抗体反応が起きるとヒスタミンがマスト細胞の中から飛び出してきて炎症を起こします。シジュウムはこのヒスタミンの遊離を抑える作用があることが分かりました。シジュウムの効力は同じようにヒスタミンを抑える力を持っているアロエの100倍にあたり、化学合成された「インドメタシン」に匹敵するものでした。

(アレルギーの目の仇にされているヒスタミンですが、実はヒスタミンは様々な作用を持っており、特にイの粘膜にあるヒスタミンは胃液の分泌を促す役割があり、神経細胞の中にあるヒスタミンも、神経伝達の役割をしています。アレルギー症状を引き起こすのは、マスト細胞の中にあるヒスタミンだけです。

シジュウムはロイコトリエンを抑える

ロイコトリエンもアレルギー症状を引き起こす成分です。やはりヒスタミンと同様マスト細胞から遊離し、アレルギー症状を引き起こしますが、ヒスタミンが比較的早く分解するのに比べロイコトリエンは持続的に作用し、気管支喘息などを引き起こすのが特徴です。シジュウムはこのロイコトリエンを抑制し、ロイコトリエン抑制剤である副腎皮質ホルモン「ハイドロコーチゾン」比較しても、それに劣らないほどの作用があります。

シジュウムは抗原抗体反応を抑える

この結果は動物実験によるものですが、実際にマウスにシジュウムを口から飲ませて行った実験ですので、比較的実験結果としては実際の状態に近い結果です。この実験はまず抗体を皮下に注射します。その後抗原を特殊な青い色素とともに静脈に注射します。すると抗原抗体反応が起こると反応により「血管透過性」の亢進が起こり、抗体を皮下注射した部位では青い色素が漏れてきます。その面積から抗原抗体反応の強さが分かります。すると実験の結果、抗原抗体反応の阻害率は62%(300ミリグラム/キログラム)に及び、これは同量の副腎皮質ホルモン「プレドニソン」に比べると1/10ということになりますが、天然物のエキスと合成化合物の違いを考慮するとアイジュウムには相当強く、抗原抗体反応を抑制する力があるといえます

シジュウムは血管透過性を抑える

「血管透過性」とは血管の漏れやすさ、ということです。アレルギー反応が起こると、血管透過性が高まり、そこから炎症を起こす物質が漏れていき、様々な症状を起こします。実験の結果、シジュウムがアレルギー性の炎症のもとになる血管透過性の亢進を抑える働きをすることが分かりました

シジュウムは炎症を抑える

動物実験で炎症そのものに対するシジュウムの作用を調べました。あらかじめシジュウムを口から飲ませたラットと飲まないラットの比較実験をしました。実験方法は炎症物質である、「カラゲニン」「ヒスタミン」「セロトニン」「プロスタグラジンE1」[ブラジキニン」を投与して炎症の度合いをそれぞれ測定し、シジュウムノ炎症の阻害率を量りました。するとシジュウムは「急性炎症」、長い時間にわたって腫れる「亜急性」の炎症にも阻害効果を示しました。その作用は化学合成品であるフェニールブタゾンやミノピリンより効果があることが分かりました

シジュウムは強い抗菌力を持っている

最近、大学の研究でカビもアトピーの原因であるとする報告がありました。体に常在するある種のカビ菌の出すタンパク質が汗に溶け込んで体内に入ることでアレルギー反応を起こすという報告です。アレルギー疾患にかかると、皮膚の防御力が弱まり、様々な細菌に感染することも多くなります。それがアレルギー症状を悪化させる原因ともなります。実験では、「黄色ブドウ状球菌」「MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ状球菌)」「溶血連鎖球菌」「プロピオニバクテリウム・アクネス菌(いわゆるニキビ菌)」に対する殺菌力を測りました。黄色ブドウ状球菌とは、傷の化膿や敗血症(病原菌が血流に乗って前真意広がる病気)を引き起こす菌です。MRSAは院内感染でよく話題になる菌ですが、メチシリンという抗生物質も聞かないことから名前のついた菌です。溶血連鎖球菌はやはり化膿や敗血症を起こします。プロピオニバクテリウム・アクネス菌はニキビを作る菌で、活性酸素を出して肌にダメージを与えます。実験の結果シジュウムはこれらの菌を薄い濃度で、短時間のうちにほぼ完全にこれらの菌を殺すことが分かり、菌に対する抑制力が高いことが分かりました。

シジュムにはTr1細胞活性抑制作用がある

シジュウムエキスを投与したTr1細胞活性の低下と共に、、Th1優位な免疫状態に変更することは、シジュウムが抗癌作用を有することが考えられる。この実験はマウスにシジュウムエキス(エタノール抽出エキス)を3日間連続経口投与し、最終投与の5日後にB6メラノーマ細胞をマウスの背部に接種し増殖するB16腫瘍細胞の進行について腫瘍の大きさを測定し、腫瘍の進行について観察した。その結果シジュウムエキス(エタノール抽出)の郡では抑制効果がみられた。Tr1細胞活性抑制機能及びその効果によるTh1細胞活性上昇とTh1細胞優位な体質改善に関する報告は植物を対象とした研究としては世界で始めてである。この研究はアレルギー疾患に対する作用の確認実験であるが、アレルギー疾患ばかりでなく、Tr細胞が抑制の中心となることが知られている癌の治療や予防にも有用であると考えられる

シジュウムはT細胞のバランスをよくする

アレルギーは免疫系の中心であるT細胞のうちTh1細胞とTh2細胞のバランスが崩れることにより、色々な症状が引き起こされる。少しアレルギーのメカニズムについて説明すると、インターロイキン4などによってIgEをつくりだす指令を出すのはTh2細胞です。Th1細胞はインターフェロン・ガンマー等によってTh2細胞の働きを抑える働きをしています。Th1細胞よりTh2細胞の働きが強くなって抑制がきかなくなると、大量のIgEが出てきてしまい、アレルギー症状を引き起こします。実験の結果シジュウムはある一定の濃度まではTh1細胞を活性化し、Th2細胞の働きを抑えることが分かりました。これによりアレルギーの症状を抑えられると考えられま。しかしある一定以上の濃度になるとTh1細胞の働きが弱まり、Th2細胞が強くなると言う不思議なっことが起こります。これは濃いシジュウムによりTh1細胞が強くなりすぎてバランスが崩れ、別の障害が起きることを避けようとしていることによるものかもしれません。またシジュウムは癌細胞やウイルスを直接攻撃する「キラー細胞」を活性化することも分かっています

シジュウムは組織障害を引き起こす一酸化窒素を抑える

体の中にマクロファージという細胞があります。この細胞は体内に侵入してきた抗原を食べたり、抗原についての情報をT細胞に伝える役目をします。また一酸化窒素を作る働きもあります。この一酸化窒素は体の中では情報伝達や感染防御、血管拡張など、重要な役割をはたしていますが、あまりに過剰な一酸化窒素は、組織に炎症や傷を作り、アレルギー症状を引き起こします。実験により、シジュウムはマクロファージの過剰な一酸化窒素の産生を抑制することが分かりました。シジュウムはこの時点でもアレルギー疾患に対して有用に作用していることが分かりました

シジュウムには総合的で確かな力がある

このようにシジュウムはアレルギーに対して、様々に働きます。「ヒスタミンやロイコトリエンの遊離抑制作用」「血管透過性の亢進」「炎症の抑制」「優れた抗菌力」「Tr細胞の活性抑制」「抗原抗体反応の抑制」「T細胞のバランスをとる」「一酸化窒素抑制」など色々と作用します。確かに一つ一つの作用では化学合成で作られた医薬品には効力は劣るかもしれませんが、色々とバランスよく効果を発揮するところがシジュウムのような生薬のよい点です。副作用も殆どないと思われます。炎症や細菌に対する作用からみてアレルギー以外の皮膚疾患(例えばニキビなど)にもかなり有効と思われます。ただし生薬というものは即効性は期待しないほうがよいでしょう。症状や体質によりその効果は違います。直ぐ効く人もいれば、なかなか効きにくい人がいるのも事実です。ただアレルギー症状や肌荒れで悩んでいる方は一度は試してみる価値はあると思います

 

 

(日本大学薬学部生薬教室 北中 進)

 

リンク

シジュウムのOS